写植という言葉をご存知でしょうか。
写植とは写真植字の略で、写真の原理を使って文字を印画紙やフィルム上に焼き付け、文字組みをする技術です。
日本語の写植を可能にする邦文写真植字機は、1924年にモリサワの創業者と株式会社写研の創業者によって発明されました。写真植字はその後次第に広まると1960年代から90年代に最盛期を迎え、DTPが一般化するまでの間、文字組みに広く用いられました。その影響は現在までおよび、デザインに関わる方もそうでない方も、知らず知らずのうちに写植のもたらしたものに触れてきています。
2024年で邦文写真植字機の発明から100周年を迎えるにあたり、Font College Open Campus 特別編として、写真植字とグラフィックデザインのこれまでを振り返ります。講師に、近著『杉浦康平と写植の時代 光学技術と日本語のデザイン』で数々の賞を受賞しているメディア論研究者・阿部 卓也 氏をお迎えし、「写植とはどういうものか?」といった基礎知識から「現在のグラフィックデザインにどう影響を与えているのか?」まで幅広くお話しいただきます。
過去と現在の結びつき、技術や社会の流れとデザインの結びつきを改めて知ることが、これまでになかった新しいデザインのヒントに繋がるかもしれません。当時の写植に直に触れてきた方はもちろん、写植を知らない、言葉としては知っているが具体的なイメージはわかないという方にこそお聴きいただきたいセミナーです。
また今年は、写植時代に活躍した写研書体のOpenTypeフォントを開発し、モリサワのフォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」にて提供することも予定されています。阿部氏の講演後にはこちらについて詳細をお伝えします。ぜひ併せてご覧ください。
今回は下記のテーマに沿ってご紹介する予定です。
・登壇者&研究(書籍)紹介
・シャショクって何?〜あなたも“知ってる”写植の世界〜
・写植技術の歴史(ざっくりと)
・手動写植
・電算写植
・デザインの現場をどう変えた?
・書体選びこそデザインの肝……じゃない時代はとっても長い!
・「切った貼った」のデザイン渡世?
・写植書体、何がそんなに面白い?
・石井文字と写植書体の誕生
・新書体百花繚乱
・西のモリサワ、東の写研
開催日 | 2024年2月22日(木)15:00 - 16:40(100分) | |
タイムテーブル | ||
15:00 - 16:00 |
日本語デザインを変えた技術 発明100年に1から知りたい写植の話 |
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16:00 - 16:20 |
(モリサワパート) |
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16:20 - 16:40 | 質疑応答 ※モリサワパートの間に登壇者が質問内容を確認し、順次ご回答いたします。 ※時間の都合上すべての質問に回答できない可能性がございます。 |
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形式 | Zoomウェビナー形式 | |
費用 | 無料 | |
定員 | 450名 | |
お問合せ先 | Font College Open Campus運営事務局:font-info@morisawa.co.jp |
デザイナー、メディア論研究者 Designer, Media Studies
愛知淑徳大学 准教授 Associate Professor, Aichi Shukutoku University
阿部 卓也 Takuya Abe
武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業後、東京大学大学院情報学環博士課程単位取得満期退学。
フランス・ポンピドゥーセンター・リサーチ&イノベーション研究所招聘研究員、東京大学大学院情報学環特任講師などを経て、2017年より現職。
イメージや文字の研究と並行し、装幀やキャラクターデザインなどデザイナーとしても活動、理論と実践の架橋に取り組んでいる。
単著『杉浦康平と写植の時代』(慶應義塾大学出版会、2023年)で、第77回サントリー学芸賞、および第45回毎日出版文化賞特別賞を受賞、東京TDC賞2024エディトリアル・ブックデザインカテゴリー入選。
その他の受賞歴として、第4回竹尾賞優秀賞、第15回立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞など。